太陽光パネルをやめたいと感じる理由は?廃棄や売却時の注意点を解説
太陽光パネルは自宅で太陽光発電を行える設備です。太陽光発電は環境にやさしく、発電した電気を自家消費できるというメリットから、近年では多くの人が設備の導入を行うようになっています。
しかし太陽光パネルの導入はメリットばかりではありません。将来的に利益になると思って太陽光発電を始めても、思うように売電収入を得ることができず、維持費との兼ね合いから途中でやめたいと考える人がいるのも事実です。
この記事では太陽光パネルをやめたいと感じるようになる理由と、太陽光パネルをやめるときの注意点や具体的な処分の方法などを解説します。
太陽光パネルをやめたいと感じる理由
太陽光パネルを投資目的で設置する人は多いですが、事前のシミュレーションと実際の発電量や売電収入の値に相違があり、太陽光パネルを途中でやめたいと考える人もいます。
また、設置前には思いもしなかったトラブルが起こることもあり、そういった面からも太陽光パネルをやめたいと考える理由になっているようです。
この項では太陽光パネルをやめたいと感じるようになる理由を詳しく解説します。
FIT期間の終了で売電価格が低下したから
FIT期間とはFIT制度が適用される期間のことをいいます。
FIT制度とは太陽光発電を含む再生可能エネルギーを、電力会社が一定期間固定価格で買い取ってくれるという制度です。固定価格買取制度ともいいます。
FIT制度のおかげで太陽光発電の所有者は、期間中固定価格での売電収入を得ることができますが、FIT制度の適応期間は、住宅用の太陽光発電(10kw以下)だと10年間と決まっています。
10年を過ぎるとFIT期間が終了し、売電価格が大きく下がってしまいます。
例えば2013年に太陽光発電を設置した場合、2013年時点のFIT制度適応時の売電価格は1kWhあたり38円ですが(10kw未満の容量)、FIT制度が終了する2023年には売電価格は8円ほどにまで下がってしまいます。売電収入を得る上でFIT制度はそれほど大きな意味があるのです。
太陽光発電設備は年間で約1万5000円ほどの維持費がかかります。FIT制度終了により売電価格が低下し、機器の経年劣化で発電量が落ち、メンテナンス費用がかさむとなれば、太陽光パネルをやめたいと考える人も増えてくるでしょう。
太陽光パネルが故障したため
太陽光パネルは屋根などの上に設置して発電を行います。屋外に設置する上、機械なので、さまざまな理由により故障する可能性があります。
太陽光パネルが故障した場合、初期不良やメーカー保証対象内であればいいのですが、災害などの自然故障が原因である場合、無償での修理に対応していない場合があります。太陽光パネルは修理も高額なので、長年使い続け劣化した太陽光パネルであれば、これを機にやめたいと考える理由になります。
太陽光パネルの故障の原因には、落雷や地震などの自然災害や、暴風による石などの飛来物によるパネルの破損、鳥が落とした落下物でのパネルの破損など、さまざまなものがあります。
まだ設置して間もない太陽光パネルを、故障が原因でやめてしまうと大きな損をしてしまうので、太陽光パネルを選ぶ際には手厚い保証があるメーカーから購入すると安心です。
太陽光パネルをやめるには
太陽光パネルをやめる場合は、大きく分けて廃棄と売却の二つの方法があります。
二つの方法の特徴をよく理解して、自分にとって最適な方法で処分を行う必要があります。
廃棄する場合
太陽光パネルを廃棄するには、解体・撤去業者に依頼する必要があります。太陽光パネルは一般のごみではなく、産業廃棄物にあたるので、適切な方法で処分を行わなくてはいけません。
解体・撤去業者に依頼することで、産業廃棄物中間処理業者を通して部品ごとの適切な処理を行ってもらえます。太陽光パネルの所有者が、自分で太陽光パネルを屋根から降ろして処分するというのは現実的ではないので、業者に依頼するようにしましょう。
ただし、太陽光パネルを業者に依頼して廃棄する場合は費用がかかります。住宅用の太陽光発電の場合は、廃棄費用に加え運搬費用、業者が作業を行うための足場代などで合計30万円ほどかかるので、廃棄する場合はそれなりの出費を覚悟しなくてはなりません。
売却する場合
太陽光パネルを売却するには、太陽光パネルの買取を行っている業者に連絡する必要があります。業者に連絡して査定してもらうことで、売却金額を知ることができます。
売却する場合は廃棄の費用がかからないので、所有する太陽光パネルが買取の対象であった場合は、売却する方がお得です。また、太陽光パネルの機器のみを売却する他に、太陽光発電設備のある中古物件として土地や家ごと売却するという方法もあります。
太陽光発電の設備がある中古物件はこれまでの発電実績を元に正確なシミュレーションを行いやすいので、近年では人気が高まっています。
太陽光パネルは数十年使い続けることができる機器ですが、年月を重ねるごとに劣化していき、故障もしやすくなります。太陽光パネルを売却すると決めたならば、早めの行動を取ることが高額査定を受けられるポイントです。
太陽光パネルと同時にパワーコンディショナーなどの機器も同時に売れば、さらに売れやすくなるでしょう。
太陽光パネルをやめるときの注意点
太陽光パネルをやめるときは、違約金や税金などの面でも注意が必要です。
太陽光パネルをやめるにしても、タイミングを見誤れば思わぬ損をすることがあるので、注意点は忘れずにチェックするようにしてください。
リース契約の際は違約金に注意
太陽光発電設備を業者から貸してもらうリース契約の場合は、違約金に注意が必要です。
リース契約は多くの場合FIT期間に合わせて(住宅用の場合10年)契約期間が設定されているので、途中で解約することは基本的にはできません。
途中で解約する場合は違約金が発生する他、残りの期間のリース料金を一括払いで請求されることもあるので、リース契約の場合は特に注意が必要です。
売却益が出た場合は税金を納めなくてはならない
太陽光パネルをやめる際に業者に売却するというのは、有効な処分方法ですが、売却する際に得た利益に対して所得税を納める必要があります。売却益から取得費用や控除などを差し引いた金額に税率を掛け、納めるべき金額が決まります。
ここで注意すべきポイントは、太陽光発電設備購入から5年以内である場合は、譲渡所得の全額が課税対象になるのに対し、5年以降では譲渡所得の二分の一にまで課税対象が減ることです。つまり購入から5年以内に売却した場合は税金を多く納めなくてはならないので、売却するタイミングには注意が必要です。
売電収入が得られなくなる
当たり前のことですが、太陽光発電設備を撤去してしまったら自宅で発電することはもうできません。これまでに得られていた売電収入は無くなり、発電による電気の自家消費もできなくなるので、売却によって得となるか損になるかを、さまざまな要素から考える必要があります。
まとめ
太陽光発電は再生可能エネルギーとして大きな注目を集めていますが、まだ普及してから日が浅く、発電量も安定的ではないので、事前のシミュレーションと結果が異なり、途中でやめたいと考える人もいます。
太陽光パネルをやめるには廃棄か売却の方法を選ぶ必要があります。もしも所有する太陽光パネルが買取の対象であった場合は、基本的には廃棄よりも売却する方がお得です。
太陽光パネルをやめるときは違約金や税金などにも注意を払う必要があります。思わぬトラブルにみまわれないために、事前に注意点を確認しておくと安心です。