ソーラーパネルには有害物質がふくまれている?その実情と課題とは?
太陽光発電設備において最も大切なパーツが、ソーラーパネルです。
太陽光を電気エネルギーに変換する重要な役割を持つソーラーパネルですが、有害物質が含まれているといった話があります。
地球環境に良いことをしていると思い設置したソーラーパネルが、環境破壊に繋がるとしたら問題です。
本記事では、ソーラーパネルに含まれる有害物質について詳しく解説してきます。
ぜひ、参考にしてみてください。
ソーラーパネルに有害物質は含まれるのか?
ソーラーパネルは、再生可能エネルギーの代表格として知られるもので、そのメリットの多さから近年一般住宅に設置する方も増えてきています。
しかし、一方でソーラーパネルには有害物質が含まれており危険性があるといった話もあり、設置すべきか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
結論を言えば、ソーラーパネルには有害物質が含まれています。
ただし、重要なポイントはソーラーパネルを設置したら有害物質が排出されるのではなく、「廃棄方法」を間違うなど、扱い方によって環境破壊につながってしまうというところです。
詳しくは後述しますが、ソーラーパネルに含まれている有害物質はそれに特有の物質ではなく、私たちが普段利用している一般家電にも多く含まれています。
ソーラーパネルだけが一概に危ないというわけではなく、適切な利用・廃棄などをすれば地球環境に悪影響を及ぼすことはないのです。
ソーラーパネルに含まれている有害物質とは?
ソーラーパネルには、大きく分けて3つの種類があります。
- シリコン系
- 化合物系
- 有機物系
具体的にこれらはソーラーパネルを構成している太陽電池セルの素材ですが、これらの種類によって含まれている有害物質が変わっていきます。
例えば、鉛やセレン、カドミウムなどの有害物質が含まれており、これらを不適切に処分すると環境破壊につながる恐れがあるのです。
また、基本的に現在最も普及しているソーラーパネルの種類はシリコン系ですが、それら意外を利用すれば問題ないというわけではありません。
例えば、上記でお伝えした鉛はどんなソーラーパネルにも含まれている可能性が高い物質です。
そのほか、ソーラーパネルのガラスにはアンチモンと呼ばれる物質が含まれており、これらがとくに注意すべき有害物質として扱われています。
これら物質の有害性について下記で解説していきましょう。
鉛について
普段鉛を使用する方でなくても、ハンダごてなどを利用して鉛を溶かした経験がある方もいるかもしれません。
ソーラーパネルは太陽光電池セルを組み合わせてパネルにしているパーツであり、セルそれぞれに配線される電極に鉛が含まれている可能性が多いと言われています。
鉛は長期間の摂取によって人体に悪影響を及ぼすと考えられており、廃棄方法を徹底しなければなりません。
近年は、無鉛ハンダに変化していると言われていますが、古いソーラーパネルを利用し続けている方は注意が必要になります。
アンチモン
耳慣れない物質であるアンチモン。
ガラスの中で発生する気泡を除去する際に添加されるもので、ソーラーパネルに使用されているガラスにも利用されていることが多いと言われています。
実際、アンチモンは添加された状態であれば何ら問題のない物質ですが、問題は廃棄方法によって環境に悪影響を与える可能性があるところです。
このアンチモンはリサイクルが困難な物質と言われており、埋立廃棄されています。
近年、アンチモンを無害化可能な技術が開発されたので安心ですが、やはり廃棄方法を間違うと有害物質が環境に悪影響を及ぼすことになるでしょう。
そのほかの有害物質について
ソーラーパネルで問題視されているのは、主に上記の2つの有害物質です。
日本国内で普及しているソーラーパネルはシリコン系であり、上記2つの有害物質以外はほとんど含まれていません。
一方、化合物系のソーラーパネルの場合、公害病の原因となると言われているカドミウムや中毒症を引き起こす可能性があるセレン、さらにヒ素などが含まれている恐れがあります。
ただし、化合物系のソーラーパネルはほとんど日本国内で使用されていないほか、メーカーが無償回収するなど、有害物質の流出が防がれているので安心です。
有機物系は、開発段階であることからほとんど流通しておらず、有害物質として含まれているのは鉛とアンチモンしかないため、こちらも神経質になるほどではないでしょう。
ソーラーパネルは危険性があるのか?
上記でお伝えしてきたように、ソーラーパネルには有害物質が多少なりとも含まれています。
しかし、だからといってソーラーパネルは危険性の高いパーツなのでしょうか。
ソーラーパネルに含まれる有害物質の危険性について下記の内容にまとめました。
- 心配する必要はあまりない
- 問題は悪徳業者
- 今後の課題
それぞれ解説します。
心配する必要はあまりない
ソーラーパネルにおける有害物質の危険性において、現在日本ではそこまで心配する必要はないだろうというのが結論です。
上記でお伝えしたようにソーラーパネルには有害物質が含まれているものの、日本のメーカーが開発するものに含まれている量はごくわずかであり、危険性は低いと考えられます。
さらに、有害物質の除去技術やリサイクル方法なども進化しており、正しく廃棄すれば何ら問題なく利用することができるでしょう。
「ソーラーパネルには有害物質が含まれているから、利用するのは危険だ」といった心配は、今の段階でする必要はないのではないでしょうか。
問題は悪徳業者
ソーラーパネルに含まれる有害物質について問題を指摘するのであれば、その矛先は悪徳業者の存在になるでしょう。
ソーラーパネルの寿命は長くて30年と言われており、さらにFIT開始に始まった太陽光発電事業は2040年頃に終了します。
そのため、これら寿命を迎えたソーラーパネルが大量に廃棄される可能性があり、それらを正しく処分しない悪徳業者の行動が懸念されているのです。
太陽光発電事業は参入障壁が低いことから数多くの事業者が取り組みやすくなっています。
しかし、太陽光発電事業は長期的におこなわれる事業であることから、事業がなかったことになる、販売企業がいなくなるなど、悪徳業者の存在によって設置したソーラーパネルの後処理ができなくなる可能性が示唆されているようです。
事業用はもちろん、一般住宅に設置されたソーラーパネルにおいても費用がかかりすぎる、どうすれば良いかわからないといった理由から、放置、または不法投棄されてしまうのではないかといった懸念があります。
本記事でお伝えしてきたように、ソーラーパネルの有害物質が環境破壊につながるか否かは廃棄の仕方です。
これら問題を真剣に考えていくことが、ソーラーパネルにおける有害物質への対応となりそうです。
今後の課題
ソーラーパネルを正しく廃棄し、有害物質による環境へ悪影響を与えないための課題を下記にまとめました。
- 事業者が廃棄できる仕組みづくり
- リユースやリサイクルの促進
- 有害物質による情報不足の解消
何より、何よりソーラーパネルを正しく廃棄できるシステムを作ることが第一優先です。
太陽光発電設備の導入を検討されている方は、ぜひこれら課題について真剣に考えてみましょう。
まとめ
太陽光発電は、今後より広がりを見せる重要な取り組みです。
だからこそ、パーツとして使用されるソーラーパネルの有害物質について詳しく知り、廃棄についても真剣に考える必要があります。
売電で儲かるから、なんとなくエコだからといったかたちではなく、これからの地球環境のこともしっかりと考えた上で太陽光発電を導入するようにしたいところです。