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太陽光パネルは再利用できるの?リユースの流れや廃棄問題・課題について解説

太陽光発電は環境にも優しく、発電した電力を使って売電収入を得ることもできます。しかし、「太陽光パネルの廃棄問題をよく聞くけど大丈夫なの?」「そもそも太陽光パネルって再利用できるの?」といった疑問が出てくるでしょう。

そこで本記事では、太陽光パネルが再利用される流れや廃棄問題について解説します。太陽光パネルの再利用における現状の課題についても紹介するため、気になる人はぜひチェックしてください。

太陽光パネルは再利用できる

太陽光パネルは再利用が可能な設備です。リユース事業を展開している企業の中には、使用済みの太陽光パネルを買取した後、検品・検査を行った上で販売しています。

実際に長野県にあるネクストエナジー・アンド・リソース社は、太陽光パネルのリユース事業を2005年から行っています。太陽光パネルの状態に合わせてランク付けしており、専用サイトで商品の状態をチェックが可能です。

また、別のメーカーでは、回収した太陽光パネルを衣料品としてリサイクルしています。太陽光パネルから抽出したシリコンを用いて、スポーツウェアやダウンジャケットを生み出しています。

様々な企業が太陽光パネルの再利用に注力しており、今後懸念される大量廃棄問題の解決手段として期待されています。

太陽光パネルが再利用される流れ

太陽光パネルが再利用される流れは、以下の通りです。

  • 販売店・施工会社による回収
  • 選別・検査
  • 再利用の実施

それぞれ順に解説します。

販売店・施工会社による回収

太陽光パネルを再利用する手順として、産業廃棄物として販売店や施工会社に回収されます。

太陽光パネルの寿命は10〜15年と言われており、故障の内容によっては修繕を行なっても治らなかったり、交換した方が費用を抑えられたりします。これらの理由によって太陽光パネルは寿命を迎え、パネルの撤去と発電システムの解体が行われます。

また、再利用の可否は回収を実施する販売店・施工会社が行います。回収前に「本当に使えない太陽光パネルなのか」を確認した上で、利用者へ確認しながら手続きを進めます。

選別・検査

回収が行われた太陽光パネルは、専門業者によって選別・検査が行われます。中間処理業者・収集運搬行者によって、産業品目を確認します。

太陽光パネルは「金属クズや廃プラスチック類」などの混合物として取り扱われます。それぞれの適正許可品目を持つ中間処理業者・収集運搬行者が、選別・検査して中身に問題ないかが行われるのです。

また、内容の検査が行われた後は、埋立処分業者や収集運搬業者へ回収を依頼します。回収依頼時は廃棄が実施される太陽光パネルの具体的な情報(有害物質の含有量など)を提供します。

再利用の実施

埋立処分業者や収集運搬業者に回収された太陽光パネルの素材は再利用が実施されます。

収集運搬業者によって再利用されるのではなく、素材ごとの専門業者へ回収されます。例えば、太陽光パネルのガスはガラスメーカーへ渡り、不純物を取り除いて一般製品へ用いられます。セルやEVAシートなどは、精錬会社へ引き渡されて活用できる物質を抽出します。

また、品質の良い状態で回収された太陽光パネルは、検査が行われた後そのままリユース品として販売されるケースも見られます。中古の太陽光パネルは通常よりも価格を抑えて入手できます。そのため、コストを抑えて太陽光パネルを導入したいと考えているユーザーとマッチングしています。

ただし、太陽光パネルのリユース販売は、粗悪品を売りつける悪質なケースも見られます。中古の太陽光パネルを購入する際は、取扱業者の情報を十分に確認することが重要です。

太陽光パネルの廃棄問題とは

昨今、太陽光パネルの廃棄問題が問題視されています。太陽光パネルの廃棄問題とは、2012年に策定された固定買取価格制度(FIT)以降、加速度的に太陽光パネルの導入が増えています。

太陽光パネルの平均寿命は25〜30年とされていることから、FIT開始と同時に導入された製品が一気に寿命を迎えると予測されています。太陽光パネルのリユース・リサイクルのプロセスは完成されておらず、廃棄する際に廃棄物が出ることが危惧されているのです。

また、太陽光パネルの廃棄に関して「寿命と同時に不法投棄されるのでは?」「廃棄時に有害物質が出るの?」などの問題点も同時に指摘されています。これら全ての問題を総じて、太陽光パネルの廃棄問題と言われています。

太陽光パネルの再利用における現状の課題

太陽光パネルの廃棄問題と再利用は非常に密接な環境にあります。太陽光パネルと再利用の現在の課題は、以下の通りです。

  • 販売会社によってリユース品の品質が異なる
  • コンテナ輸送中に破損して廃棄になっている
  • 価格優先の売却が行われている

それぞれ順に解説します。

販売会社によってリユース品の品質が異なる

太陽光パネルは検品と安全性が確認された上で、リユース品が販売されています。通常の太陽光パネルよりもコストを抑えて導入できるため、太陽光発電全体の導入費用を抑えたい人に利用されています。

しかし、太陽光パネルのリユース品は販売会社によって品質が大きく異なります。基本的には国が認める基準に達している太陽光パネルしかリユース品として販売が認められていませんが、一部は品質を満たしていないケースが見られます。

特に適切な廃棄判断が行われていないケースも存在し、ガイドラインに準拠しない状態で専門業者へ引き渡されている場合もあるのです。結果的にリユース品としての品質が低下し、通常使用できないことから廃棄されてしまいます。

リユース品の品質を担保するために、環境省主体でより具体的な基準を明記したガイドラインを策定し、不良品が混じらない環境を作っています。

コンテナ輸送中に破損して廃棄になっている

太陽光パネルの再利用において、コンテナ輸送中に破損し廃棄になる課題があります。

太陽光パネルを陸上輸送する際は、パネルメーカーと顧客が定めた納入時の仕様に従って運び込まれます。しかし、路面状態による振動や予期せぬ運転でマイクロクラック(些細な割れ)が起きているのです。

マイクロクラックが発生している太陽光パネルは、稼働後の寿命が通常製品よりも短い可能性が高いです。マイクロクラックによる製品不良を防ぐために、配送業者の中では輸送マニュアルの整備や従事者への助言が行われています。走行ルートや梱包・積載方法を細かくマニュアル化し、コンテナ輸送中の破損を最大限防ぐ動きが取られています。

価格優先の売却が行われている

太陽光パネルの再利用における課題として、価格優先の違法な買取が実施されている点が挙げられます。

リユース品買取費用とリサイクル費用の金額を相殺する際、廃棄法に準拠しない違法な譲渡を行なっている事業者が存在します。価格のみを重視して取引を行うため、買取業者へ売却先を確認していないケースが多いです。

結果として、リサイクルからリユース品を抜き出す際に、廃棄法上で各都道府県の対応差が表れています。課題解決に向けて、各都道府県による廃棄法の準拠が進められています。売却先の情報を十分に調べた上で取引を行い、違法な取引が実施されないように指導を進めています。

まとめ

以上、太陽光パネルが再利用される流れや廃棄問題について解説しました。

太陽光パネルは2040年にかけて廃棄問題が懸念されています。不適切な処理や有害物質流出のリスクを防ぐためにも、利用者側でも再利用の流れを把握しておくことが重要です。

また、太陽光パネルは技術的にも再利用が可能な製品です。今後はリユース品の販売数が増加するとも試算されているため、廃棄問題の有効手段として認識しておきましょう。

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